妊婦さんの感染症対策

皆さんこんにちは。看護師の瀧口です。
街中で見かける妊婦さん、マスクをしている方が多いですよね。妊娠中の女性は、普段より感染症に注意が必要です。
風疹、リンゴ病、トキソプラズマ、ジカ熱、サイトメガロウイルス、リステリア・・・。妊娠前は聞いたこともなかったような病名もありますよね。もちろん、インフルエンザ、風邪だって侮れません。
今回は、妊婦の敵、インフルエンザと、あまり知られていない、サイトメガロウイルス、トキソプラズマ感染症についてお話します。
早産のおそれも!まだ間に合うインフルエンザ対策
インフルエンザは、誰にとってもこわいものですが、妊娠中の女性は特に注意が必要です。
妊娠中にインフルエンザにかかると、症状がより重くなるという報告があります。また、早産を引き起こす原因ともなりえます。
胎児に影響を及ぼす可能性は低いと言われていますが、ただでさえ体力を消耗しがちな妊娠期間。つらい病気は避けたいところですね。
以下のポイントを守って生活しましょう。
- 手洗い・うがいをしっかり行う
- 外出時はマスクをする
- できるだけ人混みを避ける
- 発熱者と同じ閉鎖空間にいない
- ワクチン接種(予防接種)を検討する
ちなみに、妊娠中は予防接種を受けられないと誤解されがちですが、そんなことはありません。例年、感染は2,3月まで続きます。今からでも遅くありませんので、医療機関で相談しましょう。私も、妊娠中はいち早く予防接種を受けて、感染しないよう備えていました。

先天性サイトメガロウイルス感染症(CMV)
さきほどのインフルエンザは、かかったお母さんはつらいのですが、幸い、胎児に影響を及ぼす可能性は高くありません。これに対し、妊娠中の女性が感染すると、胎児に悪影響を及ぼす感染症もあります。なかでも多いのが、サイトメガロウイルスとトキソプラズマです。
先天性サイトメガロウイルス感染症は、難聴や発達の遅れの原因になり、毎年約1000人程度に障害が起こっています。また、幼児の難聴の原因の25%を占めるという報告もあります。
このウイルス自体はありふれたウイルスで、小さな子どもの唾液や尿に含まれています。
年の近いお子さんがいる方、日常的に子どもと接する機会がある方は特に注意しましょう。下記が注意点です。
- 乳幼児と食器を共有しない
- 子どもの食べ残しを食べない
- オムツ交換後などにはしっかり手を洗う
先天性トキソプラズマ感染症
「妊娠中は生肉を食べないように」とよく言われますが、これはなぜなのでしょうか。原因のひとつが、このトキソプラズマです。胎児に感染すると、水頭症、視力障害、脳内石灰化、精神障害を引き起こす可能性があり、また、流産の危険もあります。
原因となるトキソプラズマ原虫は、生の肉、土のなか、猫のフンのなかに存在しています。以下の点に注意しましょう。
- 加熱不十分な肉を食べない(生ハムなども避ける)
- 猫を飼っている場合は、トイレの処理を自分でしない
- 土いじりは避ける。する場合は手袋を着用する
