“不良長寿”のススメ―真面目は寿命を縮める?不真面目くらいがちょうどいい

皆さんこんにちは。順天堂大学医学部免疫学特任教授の奥村です。
私は免疫学が専門ですが、皆さんは「免疫」という言葉にどのような印象をお持ちでしょうか。簡単に言うと、免疫とは、自分(自己)と自分以外(非自己)を見分け、自分以外を排除しようとする体の働きです。こう言うとちょっと難しいですね。では、免疫について、分かりやすくお話ししていきましょう。
病気にかかる人・かからない人がいるのはなぜ?
さきほど、免疫とは、自分(自己)と自分以外(非自己)を見分け、自分以外を排除しようとする体の働きだとお話ししました。たとえば、毎年寒い季節になると病気が流行しますが、原因となるウイルスは非自己ですから、免疫システムは、このウイルスを排除しようと頑張るわけですね。免疫力が強い人はウイルスを排除できますが、なんらかの原因で免疫力が低下している人は、ウイルスの増殖を抑えられず、高熱や関節痛などのつらい症状が出てきてしまいます。
また、免疫には、病気に対抗するだけでなく、体内でできる悪い細胞の芽を摘み取るといった働きもあります。
健康であるための第一条件は、免疫力を高めることなのです。

なんでも真面目が一番?
― いえいえ、免疫力アップには、不真面目が大切です。
では、免疫を高めるにはどうすれば良いのでしょうか。
日本人は真面目でストイックな人が多いことで知られていますね。その真面目さには敬意を示しますが、私が長年、研究を重ねてたどり着いた結論は、「ちょっと不真面目に生きたほうが、免疫力も上がり、健康で長生きできる」ということです。こう言うと、皆さんとても驚かれます。
実は、世の中にあふれている健康法や健康常識は、私たちの体調にそれほど良い影響を与えないばかりか、逆に不調の原因にもなりうるものが多いのです。
あれもこれもと健康法に手を出したり、ストイックに健康管理をしたりするのではなく、「適度にいい加減」な性格で過ごすことが健康な体をつくります。
次回から、真面目はどうして良くないのか、どうすれば免疫力を高めていけるのかをお話ししていきます。