日本人は塩分の摂り過ぎってホント?今からできる減塩対策を紹介!

「塩分の摂りすぎは心臓病の原因」ということが常識になってきているにも関わらず、日本人はまだ塩分を摂りすぎています。私たちは自分の健康を守るために、どのようなことに気をつけたらいいのでしょうか?塩分摂取の現状を知り、体を守るためにできることについて考えます。
世界各国で進んでいる減塩政策
2013年初頭、世界保健機関(WHO)は塩の摂取量を成人は1日5グラム未満にするべきという新たな指針を公表しました。高血圧や心臓病などの慢性疾患を予防するためで、子供の塩分摂取はこれよりも確実に少なくするべきとされています。
今、世界各国で減塩政策が進んでいます。例えばイギリスでは国主導で加工食品の塩分を段階的に削減。2005年からの3年間で塩分摂取量を10%減らしたところ高血圧の患者が減少し、医療費も年間2600億円削減されました。また、ハンガリーでは2011年に通称「ポテトチップス税」を導入。スナック菓子など、塩分が特に高い食品などに対する課税を行うようになりました。
昔から塩分摂取量が多い日本人
塩分は人間が生きる上で不可欠であり、また食材のおいしさを引き出すためにも適度に欲しいのですが、日本では塩の摂りすぎが以前から指摘されています。厚生労働省によると、2013年の調査では、日本人の成人1日あたりの摂取量の平均は男性11.1g、女性9.4g。減塩が少しずつ進んできているとはいえ、まだまだ多いというのが現状です。
味噌、醤油といった調味料をはじめ、魚介類の干物・塩蔵品、漬物・・・ 日本では古くから、食べ物の保存や調味に塩を活用してきました。現在は塩を使わなくても食べ物を保存できるし、食材を新鮮なまま輸送することもできますが、塩気のある汁物、塩気のあるお菜にご飯という組み合わせは、今も食事の主流です。意識しないでいれば、相当な量の塩分を摂ってしまいかねません。
加工食品や外食の塩分に要注意!
「あなたの塩分摂取量はどれくらいですか?」と聞かれて、おおよそでもぱっと答えられる人はほとんどいないのではないでしょうか。自分の塩分摂取量を分かりにくくさせる要因の一つは、加工食品です。調理の途中で自ら塩を加えなくても、ウィンナーやソーセージなどの肉系の食品、かまぼこやたらこなどの魚介系の食品に加えて、レトルト食品、冷凍食品、ソースなどの調味料といった多くの加工食品に、それなりの量の塩分が含まれているのです。日本人は塩分の7割を食塩そのものではなく、加工食品から摂っているということが分かっています。
また、外食や中食をするときにも注意が必要です。例えば、かけそば1人前には6.4g、ラーメン1人前には8.1g、即席カップ麺1食分には6.9gほどの塩分が標準的に含まれています。この1食で、WHOが推奨する1日分の塩分摂取量を超えてしまうことになるのです。といっても、加工食品を使わない、外食もしない、というのは非現実的。私たちは、どうしたらいいのでしょうか。
外食を減らし、加工品からの塩分をカット!
まずは、外食を減らすのが塩分カットの近道です。自分で味付けをすれば、どれくらいの塩分を入れているのかが明確になり、減らしていく目安にもしやすいので自炊がおすすめです。それでも全部というのは難しいかもしれません。そこで、加工食品の中には栄養成分表示としてカロリーなどとともに塩分(ナトリウム)量が示されているものを確認してみてはいかがでしょうか。数値を見比べて、少ないものを選ぶだけでも効果があるはずです。
それから、ミネラルの一種であるカリウムには、体内の余分な塩分を排出する働きがあります。どうしても塩分が多くなりがちな食生活の人は、カリウムを豊富に含む海藻・野菜・果物を積極的に摂るようにするのがおすすめです。
参考
- World Health Organization(WHO)『Guideline: Sodium intake for adults and children』Geneva、2012年
- 「道は険しい? “減塩社会”への挑戦」(NHK「クローズアップ現代」2014年9月4日放送)
- 「肥満防止で「ポテチ税」導入 財政再建中のハンガリー」(『日本経済新聞』2011年9月2日付記事)
- 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2015年版)」
- 文部科学省 食品成分データベース